「…わからない」
これからどうする、という問いかけに対して、
頼りない返事をしたのはエリアスだ。
といっても返事するつもりは無かったらしく、
サッと顔をひきつらせ「しまった!」という感情が目に見えるほど。
「す、すまない。
俺は難しいことがわからないから、どうしていいのかわからない。
相棒が戻ってきてから、どうするか話し合って決める」
ゆっくりと、といえば聞こえはいいが、たどたどしい口調で語る。
手持ち無沙汰になったのか、左手がプラプラとして、
やがて、背中の帯剣の柄に触れた。
「どこかの隊に所属するなら、中央を突破する部隊が性にあう。
グヌタスの術を頼りにする案をだしてくれた人もいるが、
伝えればきっと、同意するだろう」
と、ここまでは、視線は前に向けて語っていた。
だが、急に視線を落とすと。
「すまん、今は混乱している。
グヌタスと話をしてから、また、機会があったら話をさせてもらう」
そう言って、黙り込んだ。
そこにちょうど、向こうから首を振りながら少年がやって来て、
エリアスの横に立った。
エリアスの表情が若干和らぐ。そしてふたりでなにやら話し始めた。
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