淡々と迫ってくる相手を剣で軽くいなしながら(叩き潰すとも言う)
エリアスは戦闘の喜びで恍惚としていた。
「エリー」
グヌタスは土術で援護をし、自分の周りの相手は槌で追い払いながら相棒を呼んだ。
しかし彼には聞こえていないようだ。
「この程度の腕で俺と戦うというのか、他愛ない。しかし容赦はせん」
などと言いながら、相手を叩いている。手加減も何もあったものではない。
「エリー!!」
大声で呼ばれてやっと聞こえたのだろう、エリアスはぽかんとグヌタスのほうを
向いた。
「ぽかんとするな、戦いながら話を聞け。それくらい練習しただろうが」
エリアスがすぐさま戦いに意識を戻せば、隙ありとばかりに飛び掛る警備兵たちの
姿が映った。さっと体をひねって避けると大剣で足元をつついて転倒させる。
「…で」
短くグヌタスに問う。
「このままでいいと思うか。確かにここでやりあうのは余裕だが、
もともとの目標は相手の旗を奪うこと。
ここで足止めをするのも役割だと思っていたが、
この調子では足止めさせられているのはこっちだ」
他の仲間とやらを信用していないわけではないがな、と付け加える。
「余力があるのに、ここで足止めさせられているのは得策ではないと思わないか」
グヌタスの提案に、エリアスは苦心した。
なにもなく考えれば結果はすぐ出るのだが、いかんせん戦闘しながら
考えるなどという器用な真似は彼には難しい。
まわりの敵を減らしてから考えよう、最初はそう思い攻撃ペースを上げたが、
相手は数倍もいる。
よって、かなりの時間をかけてしまったが、結論は出た。
「行こう。敵の本陣へ」
[方針]
2、単身突破を試みる(危険性は高くなります)
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