「さて、無事に広場を抜けたわけだが、これからが本番だな」
ハンマーを下ろして、グヌタスがつぶやく。
現状では術を使える体制にしていたほうがいいと判断したようだ。
「しかもあまり時間も無い」
ぽつりとエリアスはつぶやいた。
「ん、なぜそう思う?」
グヌタスの問いに、エリアスはふるふると首を振って。
「余裕の相手ならば、散開して行った友軍が勝利しているはず。
その連絡、来ていない」
それとどう関係があるのだろう。聞いたところで無駄な気もする。
今、このときも向かって来ている相手を殴っているところなのだから。
しゃべりながら戦うようになっただけ、たいした進歩だ。
「よくわからんが、こっちもいそいだほうが良さそうだな。
とはいえ、先に罠が無いとは言い切れない。
どうする、みなさん?」
周りの友軍たちに声をかけた。
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「…はあっはあっ……」
グヌタスは息を吐き出した。
ここまで強行突破してきたことで、少々疲れているのだ。
しかしまだ目的地までは遠い。
強く息を吐くことで、喝を入れているのでもあった。
エリアスはおかしいので、比較してはいけない。
「さて、この先にどれだけの人数がいるかだね…
相手さんが人がいなくて、罠頼りの作戦だと、分散はいい手ではないと思うのだが」
グヌタスはハンマーでひょいと相手の足をひっかけつつ言う。
「だが…俺は早く行きたい。
みんなで行っても結局罠にかかるなら、ばらけてもいい。
暴れる、得意だしな」
それだけ言うと、エリアスはあきらめていない中央広場から駆けてくる相手に対して
剣を振り回し始めた。
もう意見を言うつもりはないのだろう。
「4人で分かれれば5組にはなる。人を回してもらったのには感謝しないとな。
ただこの状況下で素早くチームが作れるか、
誰が本命で残りが陽動にいくか決められそうか?
悪い、ケチつけるつもりはないんだが、な」
ただでさえ戦闘中の今。すこし難しくはないかとグヌタスは考えた。
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「なるほど、その友軍さんはフュークス隊長につけてもらったのか。
なら、調整は彼らの中でできそうだな」
納得してグヌタスは頷く。
心遣いに感謝したいところだが、それを短く伝える手段を知らないため、
感じが悪かったかと反省したが、やはり今は時間が惜しい。
旗を取りに行くか、との問いには、子供のようにいたずらっぽい笑みを浮かべて
「悪くない。行こう。
おいエリー。暴れながら旗まで行くとするぞ!」
相棒に声をかけた。
「いろいろとありがとう。えっと…
僕はグヌタス。あっちで暴れているのがエリアス。
あなたは?」
最後にそう尋ねて。
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「結束の力がモノをいうか、だね。よろしく頼むよ、舞葉さん。
まずはえっと。シェットって人に部隊の分散を頼んでもらって、と。
あとは僕たちは旗に向かうだけだな」
簡単に確認をする。
それから、こちらに戻ってきたエリアスを連れて、舞葉と共に旗を目指す。
3本の矢になれるようにと思いながら。
[第三回行動方針]
3、その他
3、4名でチームをつくる。
シェット氏が率いるブリガンタンドのメンバーは彼のさい配でチームを
素早く作ってもらう。
<ダンサー><ミネラル>で1チームつくり、迅速に旗を目指す。
他のチームには陽動を行なってもらう。
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