テレスにはぜひガイアに帰ってもらいたいところでしたが、
大規模な作戦でその願いは叶うことに。
作戦前に挨拶はほとんどできなかったけれど、一応ガイアでお世話になった人に
挨拶をすることができたようです。
時間はかかりましたが、無事戦闘終了。
いろんな意味でよかったです。
(1)
ガイアへ集まり、集団行動になる前、テレスティアは以前世話になっていた人たちの元へ挨拶に行った。
時間が無いので、すこしだけの顔見せだったけれど、これでこころおきなく戦える。
作戦がはじまった。
周囲を包囲するということで、逃れてくる敵を逃してはいけないのだという緊張感がピリピリと伝わってきた。
自分も杖を握り締めて、目と数少ない魔力を使って待つ。
たくさんの影が見えるので、
(ああ、あそこで誰かが戦っているのだ、あそこでも…)
そう、感慨にふけってしまった。
そこへ降りてきた妖魔たち。
「みなさん、よろしくお願いします。
集団戦は不慣れですが、わたしたちもがんばりますから。
こちらは任せてください!」
ドワーフさんに声をかけて、協力をお願いした。
ここから先は戦闘モード。
「逃がさない。わたしの故郷で随分と好きなことをやってくれたそうじゃないか」
杖を構え、相手をにらみつける。
「防御結界を張る。皆、任せたぞ。
堅牢なる大地の力を 今こそ我らに――」
(2)
防御の術のおかげだろうか。
それとも戦士とドワーフの鮮やかな攻撃のおかげだろうか。
ゴブリンはあっさりと倒れた。
杖でその亡骸をつついて、動かないことを確かめる。
「…終わったようだな、とりあえずは」
そう、とりあえず。
まだ戦いは山の上で続いているのだ。
そう気を引き締めたとき、ドワーフのひとりが吹き飛んだ。
「!? 大丈夫か!」
思わず駆け寄り、抱き起こす。
それよりも優先すべきことがあるだろうとたしなめられ、現れた敵に目をやった。
オーガ。
記憶が確かなら力の強い妖魔のはず。
さて、どうする…?
思考をめぐらせたとき、ネリアルからの指示が飛んできた。
フォローはネリアルとノービスに任せ、自分は万が一に備え詠唱体制に入る。
結論から言えば、その必要は無かったのだが、それは良いことだ。
山の上の喧騒も収まってくる。
嫌な気配は残ってはいるものの、だいぶ薄れたようだ。
戦闘が終わり、あらためてテレスティアはガイアの人々に挨拶をした。
来たとき、時間が無いにもかかわらず挨拶したのは、自分が戻れる保障がなかったから。
今は安心して挨拶ができる。
身寄りの無かった自分を迎え入れてくれた鉱山の町に感謝しながら
今後はセレディカで働くことを告げ、別れを告げるのだった。
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